名称:
大きな物語の終焉(End of Grand Narratives)
概要:
「大きな物語の終焉」とは、フランスの哲学者ジャン=フランソワ・リオタールが提唱した概念である。近代社会を支えてきた普遍的で包括的な説明体系(進歩、理性、自由、解放などの物語)の妥当性や説得力が失われ、多元的・断片的な価値観や知識が並存するポストモダン的状況を表現している。
提唱の背景・経緯:
リオタールは1979年に発表した『ポストモダンの条件』のなかで、近代的知識や啓蒙思想が前提としてきた、統一的・普遍的な物語(メタナラティヴ)が、その信頼性を失っていると指摘した。20世紀の諸問題(世界大戦、冷戦、文化的多様化、科学技術の急激な発展など)を背景として、現代社会が多様で相対的な価値観の時代に移行したことを示した。
主な内容・特徴:
-啓蒙思想や進歩主義など、近代の思想を支えた普遍的な物語の崩壊。
- 統一された真理や目的を語る「大きな物語」が信頼されなくなり、多様な「小さな物語(ローカルな物語)」が重視される。
- ポストモダン社会は、真理や価値が相対化され、多様性・断片性を受け入れる状況にある。
批判・議論:
- 相対主義的な態度が倫理的・政治的判断を困難にするという批判。
- 大きな物語の拒否が、社会的な連帯や政治的行動の基盤を揺るがすとの議論もある。
影響・関連性:
この概念はポストモダニズムを象徴する考え方となり、現代思想、文学理論、社会学、政治学など幅広い分野で参照される。特に、グローバル化や多文化主義などの現代社会を分析する上で重要な理論的枠組みとなった。
関連する人物・概念・作品:
- ジャン=フランソワ・リオタール『ポストモダンの条件』(1979)
- ジャック・デリダ(脱構築)
- ミシェル・フーコー(知と権力の理論)
- ポストモダニズム(関連するジャンル)
- 多元主義(Pluralism)
- 相対主義(Relativism)