名称:

パノプティコン(Panopticon)

概要:

パノプティコン(全展望監視システム)とは、18世紀イギリスの哲学者ジェレミ・ベンサムが提唱した、刑務所などの監視用の円形建築構想である。一人の監視者が全ての収容者を効率的に監視できる仕組みであり、20世紀には哲学者ミシェル・フーコーが近代社会の権力構造や監視社会のメタファーとして再解釈したことで、広く知られる概念となった。

提唱の背景・経緯:

ベンサムは1791年、効率的で人道的な刑務所のデザインを考案した。それは円形建築で中心部に監視塔を設け、囚人は周囲の独房に収容される。この構造により、監視者がいるかどうか囚人にはわからず、囚人は常に監視されていると感じて自発的に規律を守るようになる。20世紀には、フーコーがこの構想を近代社会における権力作用の象徴として再評価した。

主な内容・特徴:

  • 中央に監視塔、周囲に個室が配置され、一人で多数を効率的に監視可能
  • 監視者は見えず、被監視者が自ら規律を内面化する効果(自己規律化)
  • フーコーによる再解釈により、近代の学校、病院、工場など社会全体に潜む監視権力の象徴となる

批判・議論:

  • パノプティコンのメタファー化が、現代社会を過度に監視的、抑圧的と単純化しすぎるという批判
  • 社会的自由や個人のプライバシーを損なう可能性に関する倫理的懸念も指摘されている

影響・関連性:

フーコーによる哲学的再解釈を通じて、現代社会の監視や権力関係を分析する重要な理論的枠組みとして位置づけられる。特に情報社会・監視社会論の文脈で広く引用され、現代思想や社会学、政治学などで大きな影響を与え続けている。

関連する人物・概念・作品:

  • ジェレミ・ベンサム(考案者)
  • ミシェル・フーコー『監獄の誕生』(1975年、哲学的再評価)
  • 監視社会論(Surveillance Society)
  • 生政治(Bio-politics、フーコーの関連概念)