概要:

「差延(différance)」とは、フランスの哲学者ジャック・デリダが提唱した概念であり、「差異(difference)」と「遅延(deferral)」を同時に含意する造語である。意味は差異により構築され、かつその最終的な確定が常に遅延し続ける、という言語の根源的性質を示す。

提唱の背景・経緯:

1968年の論文『差延』においてデリダが初めて提唱した。西洋哲学に根強いロゴス中心主義(言葉や理性によって意味が明確に伝達されるという思想)を批判し、言語や記号の不安定性を示すために導入された。

主な内容・特徴:

  • 言語の意味は他の言葉との「差異」によってのみ成立するという考え方。
  • 意味が完全に定まることはなく、常に延期(遅延)され続けるという主張。
  • ロゴス中心主義の崩壊を示し、真理や意味の安定性・固定性を否定する。

批判・議論:

  • 意味の不確定性や不安定性を過度に強調し、現実的なコミュニケーションの機能を無視しているとの批判。
  • 難解な表現や抽象的な説明が、実践的な議論や分析に適さないとする議論もある。

影響・関連性:

ポスト構造主義や脱構築の中心概念の一つとなり、哲学、文学理論、カルチュラル・スタディーズなど多様な領域に影響を与えた。特に、現代思想における「意味」の理解を大きく変え、多義性や曖昧性の重要性を浮き彫りにした。

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