Logging into Realityとは

Logging into Reality(現実にログインする)とは、一つのコンセプトである。私がこれを考えたのは、現実はもっと意識的に入っていくべき場所であるということを喚起する意図がある。

近年、スマートフォンやデジタルプラットフォームの普及に伴い、人々は常に情報や刺激に晒されている状態にある。その結果、現実世界での体験や人間関係への注意が散漫になり、ストレスや不安、孤独感が増加するという問題が生じている。

一方で、心の健康やウェルビーイング(幸福感)が注目されている現代においては、デジタルデトックスなど、「意識的にテクノロジーとの距離を取る」ことへのニーズも高まっている。

デジタルデトックスと比較すると、Logging into Realityはより包括的な概念である。これはテクノロジーからの距離を取るだけでなく、その先の現実の充実を目指す。また、テクノロジーを悪としたり、一時的な取り組みではなく、むしろテクノロジーの恩恵を受けつつも、バランスを取り、現実世界とのつながりを意識的に持つことを重要視する継続的な取り組みである。

現状のテクノロジーは、むしろユーザーの進化的な本能を巧みに刺激し、注意を奪い、利用時間を増やす方向に設計されていることが多い。そのため、ユーザーの意識的な行動をサポートし、デジタルから現実への意識の切り替えを促す仕組みも求められている。

テクノロジーのユーザーとその提供者という両方の立場から、より良いテクノロジーとの関係、ひいてはそれと不可分である現代の世界におけるより良いあり方を考えるということが、Logging into Realityである。

これを考えるには、逆説的に現実からのログアウトを考えるとわかりやすい。例えば、映画館での上映中や、目の前の人と食事をしている時、もう寝なければいけない場面で、スマホをいじってしまう状況を想像してみて欲しい。これは、現実からLogoutしている状態(Logout from Reality)であり、Logging into Realityの対極にある。

フィルターバブルやエコーチェンバーの影響で先鋭化してしまい、その外側の人とSNS上で論争を繰り広げること、ニュースなどで必要以上に多くの情報をかき集めてしまうこと、過度に理想化された投稿が繰り広げられる中で自尊心が傷つくことも、現実からログアウトしている状況だと考えられる。本当にしなければならないことはもっと他にあるという意味において、その不毛さは現実が見えていない状態に近い。

Logging into Realityでは、デジタルスペースにおけるそのような不毛な場所からは意識的に距離を置くことが求められる。またこういう状態を良しとせずに、そうではないあり方を共に考えるということが、Logging into Realityである。