概要

2003年2月1日、アメリカ航空宇宙局(NASA)のスペースシャトル「コロンビア号」(ミッションSTS-107)が、地球への帰還に向けた大気圏再突入中にテキサス州上空で空中分解し、乗組員7名全員が死亡した。スペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故に続く、スペースシャトル計画史上2度目の全損事故となった。

背景

  • 発射時の損傷: 1月16日の打ち上げ時、外部燃料タンクから剥がれ落ちた断熱材(フォーム)の破片が、オービター(機体)の左主翼前縁に衝突していた。
  • 判断: ミッション中、NASAのエンジニアはこの衝突について懸念を示したが、マネジメント層は過去の経験則から「安全性に致命的な問題はない」と判断し、軌道上での詳細な検査(衛星写真の撮影依頼など)を行わなかった。

何が起きたか

  • 2月1日午前(現地時間)、コロンビア号は大気圏への再突入を開始した。
  • 発射時の衝突で左主翼の耐熱パネル(RCC)に穴が開いており、再突入時の超高温ガス(プラズマ)が翼の内部構造に侵入した。
  • 左主翼のセンサーが次々と異常を示した後、翼が構造破壊を起こして脱落した。
  • 機体は制御不能な回転に陥り、超音速飛行中に空中分解した。
  • 破片はテキサス州からルイジアナ州にかけての広範囲に落下した。

影響

  • 計画の凍結: スペースシャトル計画は2年半にわたり凍結された(2005年のSTS-114で再開)。
  • 事故調査委員会(CAIB): 報告書では、技術的な原因だけでなく、NASAの組織文化や安全軽視の姿勢が厳しく批判された。
  • シャトルの引退: この事故を受けて、国際宇宙ステーション(ISS)の完成をもってスペースシャトルを全機退役させることが決定された(2011年に完了)。
  • 民間宇宙開発への道: シャトル後継機の開発遅延と空白期間への懸念は、その後の民間による有人宇宙飛行(SpaceXが民間企業として初の有人ロケット打ち上げなど)へのシフトを加速させる要因の一つとなった。

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