名称:
悪の凡庸さ(Banality of Evil)
概要:
「悪の凡庸さ」とは、哲学者ハンナ・アーレントがアイヒマン裁判(1961年)を傍聴し提唱した概念である。平凡で思考停止状態にある普通の人間が、無自覚に巨大な悪に加担するという現象を指す。
提唱の背景・経緯:
アーレントはアイヒマン裁判を観察し、アイヒマンが凡庸で主体性や深い悪意を持たず、ただ命令に従う平凡な官僚であったことに着目した。この観察から、「悪の凡庸さ」という概念を生み出した。
主な内容・特徴:
- 悪を行う主体が特別な人物ではなく、平凡な人物であること
- 思考停止や服従、無関心が悪の行為を可能にするという指摘
批判・議論:
- アイヒマン自身の責任を過小評価しているとの批判
- 悪の凡庸さという言葉が倫理的責任を曖昧にするとの議論
影響・関連性:
倫理学、哲学、社会心理学、政治学の分野で深く議論され、現代社会における倫理と責任の問題を考える上で重要な概念となった。
関連する人物・概念・作品:
- ハンナ・アーレント(概念の提唱者)
- アドルフ・アイヒマン(概念の背景となった人物)
- アイヒマン裁判(1961年)
- 『イェルサレムのアイヒマン』(アーレントの著作)